#31 焚き火と薪小屋づくり①「荒浜を歩く」

荒浜ベースに薪小屋を作る連続ワークショップ「焚き火と薪小屋づくり」第1回の「荒浜を歩く」を開催しました。

震災遺構・荒浜小学校を出発。最初に伺ったのは「CDP」というスケートボードパークです。

ここは元々この場所にお住まいだった貴田さんが、津波被災後に「他にやることないから(本人談)」と瓦礫を自力で片付け始め、いろんな廃材を集めて活用しながらスケートボードパークとして開設した場所。

使えそうな材料を仕分け、使えなさそうなものも「(木材は)燃やせば暖はとれる」として活用。だんだん集まってきた利用者の方々までもが物や技術を持ち寄って、今なお改良が加えられ続けています。

移動の途中で立ち寄ったのは、深沼橋となりの土地。ここはかつては住宅地だった場所。仙台市の防災集団移転跡地利活用事業の中で、私たち荒浜のめぐみキッチンが「深沼ベース(仮称)」として整備・運営する準備を進めています。

ざっくり表現すればプレイパークではあるんですが、この土地のことを知ったり、自然との付き合い方に思いを向けられるような、そんな取り組みを考えています。詳しくはまた機会を設けてご紹介します。

震災遺構 仙台市荒浜地区住宅基礎

続いてお伺いしたのは、よしおさんの番屋。沿岸漁業を営む「大吉丸」の良男さんが、以前ご自身の運営していた海の家の部材を瓦礫の中から見つけてきたり、海岸の漂着物からも色々と使えそうなものを見つけてきては活用しながらセルフビルドした作業小屋です。

漂着物は震災以前から日常的に活用なさっていて、その技とモノ(漂着物)に価値を見いだす眼の卓越っぷりは圧倒的。娘さんの優子さんに、漁の話、海の話、子供の頃からの荒浜と焚き火の話をたくさん聞かせていただきました。

深沼海岸にも立ち寄りながら、深沼ビーチクリーンなど荒浜で行われている活動についてもお話ししました。

最後に訪ねたのは、海辺の図書館

この場所にお住まいだった庄子さんが、震災後に片付けをしている際に、日々顔を合わせていた近所の方々からいろんな話を聞くうち、「これはまるで本を読んでいるようだ」と思い「本も建物もない図書館」として始めたところです。

荒浜の写真を撮り続けている豊さんにもお会いし、子供の頃に松葉や流木を集めては、焚き火や風呂沸かしをした話などをお聞きしました。

ここで昼食。ちょっとした手違い(笑)で非常に具だくさんになった、焚き火調理の美味しい豚汁が出来上がりました。そして外では焚き火を囲みながら、薪を割ったり火の番をしたり雑談したり、ゆったりした時間を過ごしていました。

「薪小屋を作るワークショップで、なんで最初が町歩きなの?」という疑問を持たれた方もいるかもしれません。

今回これから作っていく薪小屋は、ある廃材を材料として活用します。私達めぐみキッチンが活動の中で大切にしている「身の周りにある『使わなくなったもの』『廃棄するもの』は、知恵と技と手間をかければ『使える材料』になる」という考え方は、今回お話をうかがった荒浜の方々との関わりの中で学んできたことでもあります。

そしてまた「焚き火を楽しむ場所を作る」にあたり、焚き火って荒浜の日常生活の中でどんな存在だったのか、ということもお聞きしながら、理解を深めつつ作っていきたいと考えたのでした。

ご参加いただいたみなさま、ご協力いただいた方々、ありがとうございました。次回 1/18 はいよいよ実製作がスタート。荒浜にルーツをもつ看板・ディスプレー屋さんのスリーエイトに材料や場所をご提供いただき、「廃材を活かす」ための工法を使いながら薪小屋の部材を作ります。


「焚き火と薪小屋作り」

2019年度仙台市文化プログラム「東部沿岸地域に集まる場を整えるプロジェクト」
主催 荒浜のめぐみキッチン 公益財団法人仙台市市民文化事業団 仙台市